小児矯正

ドクターよりのメッセージ

小児矯正は、単に「歯並びを整える」ことが目的ではありません。私たちが重視しているのは、お子さまの成長過程において、あごの発育や呼吸、咀嚼、発音といった口腔機能全体を正しく導いていくことです。

特に近年は、食生活の変化や生活習慣の影響により、あごの成長が不十分なお子さまや、口呼吸、低位舌などの機能的な問題を抱えるケースが増えています。こうした問題は将来の歯並びだけでなく、姿勢や睡眠の質、集中力、さらには全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。

当院では、お子さま一人ひとりの成長段階に合わせて、最適なタイミングと方法での矯正治療をご提案しています。取り外し式のマウスピース型矯正装置や、あごの骨格誘導を目的とした機能的矯正装置などを活用し、痛みや負担の少ない治療を心がけています。

また、矯正治療を通じて、正しい姿勢や舌の位置、呼吸法なども指導し、口腔周囲筋のトレーニングも取り入れながら、トータルな成長支援を行っています。「いつ始めるのがベストなのか」「装置を嫌がらないか」など、保護者の方の不安もあるかと思います。まずはご相談だけでもかまいません。将来のお子さまの笑顔と健康のために、今できることを一緒に考えていきましょう。


小児矯正とは

小児矯正とは、お子さまの成長過程に合わせて、歯並びや顎の発育を正しい方向へ導くための矯正治療です。大人の矯正とは異なり、「悪い歯並びを治す」ことだけでなく、「歯並びが悪くならないように予防・誘導する」ことに重きが置かれます。成長期にある子どもだからこそできる矯正アプローチがあり、顎の骨のバランスを整えたり、舌や口呼吸といった悪習癖を改善したりすることで、将来的に抜歯を避けたり、複雑な矯正を回避することが期待されます。

小児矯正を始めるタイミング

第1期治療(乳歯と永久歯の混在期)

おおよそ6歳〜10歳ごろに該当する時期で、乳歯から永久歯へと生え変わる「混合歯列期」に行う矯正治療を「第1期治療」と呼びます。この時期は、骨の成長を利用して顎の幅や前後のバランスを整えやすく、正しい成長発育を促すための大切なタイミングです。歯並びだけでなく、口腔機能全体を整えるアプローチがとられます。

第2期治療(永久歯が生え揃った後)

おおよそ12歳以降の時期で、永久歯列が完成してから行う矯正治療です。基本的には成人矯正と同じく、ワイヤー矯正やマウスピース矯正などで歯並びの最終調整を行います。第1期治療をしっかりと行っておくことで、第2期治療が必要ない、または最小限で済むことも少なくありません。

小児矯正が必要となるケース

以下のような症状や傾向がある場合は早期の相談がおすすめです

  • 出っ歯(上顎前突)
  • 受け口(下顎前突・反対咬合)
  • 前歯が噛み合わない(開咬)
  • 顎が左右にずれている
  • 歯がデコボコに並んでいる(叢生・乱ぐい歯)
  • 指しゃぶり、口呼吸、舌を前に出す癖がある
  • 永久歯の生えるスペースが足りない

こうした症状は、放置すると骨格的な問題に発展したり、大人になってからの矯正が複雑化する恐れがあります。適切なタイミングでの診断・介入により、成長を味方にした効率的な治療が可能です。

当院の小児矯正の特徴

成長予測に基づく診断

当院では、頭部X線規格写真(セファログラム)や歯科用CTを用いた精密な骨格診断を行います。お子さまの顎の成長方向・スピードを予測し、将来的にどのような咬合になるかを評価したうえで、最も適したタイミングと治療方針をご提案します。

痛みと不安に配慮したやさしい治療

小児矯正では、お子さまの気持ちに寄り添う姿勢が非常に重要です。当院では、丁寧な声かけと段階的な説明を心がけ、無理のない治療計画を進めていきます。使用する装置も、違和感や痛みが少ないものを選定しています。

悪習癖へのアプローチ

歯並びの乱れの原因の多くは、骨格だけでなく口腔機能や習癖にあります。舌の癖、口呼吸、頬杖、指しゃぶりなどは、歯並びに悪影響を与える要因です。当院では、マイオ機能療法(MFT)やアクティビティを取り入れ、根本原因の改善も併せて行います。

マウスピース型や取り外し式の装置も対応

固定式のワイヤー装置に加え、取り外し可能な床矯正装置や、近年注目されている「インビザライン・ファースト」などにも対応しています。お子さまの生活スタイルや性格に応じた装置を選択できることが、長期にわたる治療成功の鍵となります。

使用する装置の一例

床矯正装置

主に顎の幅を広げる目的で使用される、取り外し可能な装置です。就寝時や在宅時のみの装着でも効果が期待できます。発音や食事に影響が少ないのが特徴です。

リンガルアーチ・バイオネーターなど

奥歯の位置や舌の位置をコントロールする目的で使用される固定式の装置です。症状に応じて個別に設計されます。

インビザライン・ファースト

透明なマウスピース型矯正装置で、見た目を気にせず、取り外し可能な点が大きなメリットです。近年、小児矯正においても高い支持を集めており、当院では正規導入しております。

小児矯正のメリット

  • 顎の成長を利用できるため、骨格改善が可能
  • 将来の抜歯リスクを軽減できる
  • 成人矯正の必要性を減らせる可能性がある
  • 滑舌や口呼吸などの機能面の改善にもつながる
  • 心理的コンプレックスの解消や自己肯定感の向上

小児矯正に関するQ&A

Q. 何歳から相談できますか?

5歳〜6歳ごろからの受診がおすすめです。早期に診査することで、治療が必要かどうか、またどのタイミングで始めるべきかが明確になります。

Q. 費用はどのくらいかかりますか?

症状や装置の種類によって異なりますが、概ね第1期治療で30万円〜50万円程度、第2期治療で40万円〜70万円程度が目安です。当院では分割払いやクレジットカードにも対応しています。

Q. 痛みはありますか?

装置の調整後に軽い違和感や痛みを感じることがありますが、数日で慣れるケースがほとんどです。痛みに敏感なお子さまには緩やかな力での調整を心がけています。

ご家族とともに歩む治療

小児矯正は、お子さまの成長とともに数年間にわたる長期的な治療になります。そのため、保護者の方のご理解とご協力が治療成功の鍵を握ります。当院では、治療方針をわかりやすくご説明し、ご家族と一緒にお子さまの口腔の健康を守っていく体制を大切にしています。

まずはご相談ください

「この歯並び、大丈夫かな?」「矯正が必要なのか知りたい」といった小さなご不安でも、どうぞお気軽にご相談ください。お子さまの将来の健康と笑顔のために、最適なタイミングでのアプローチを一緒に考えていきましょう。矯正の専門的な立場から、的確なアドバイスとサポートを提供いたします。