口腔外科について

口腔外科では、親知らずの抜歯や顎関節症、口腔内腫瘍、外傷など、幅広い疾患や症状に対応しています。外科的処置は不安や恐怖を伴いやすいものですが、当院では事前のカウンセリングで治療内容・リスク・術後の経過を丁寧にご説明し、患者さまが納得して治療を受けられるよう努めています。
大学病院や専門機関での臨床経験を生かし、安全かつ正確な処置を行うことはもちろん、術後の痛みや腫れを最小限に抑えるための工夫も欠かしません。口腔外科治療を通じて、お口の健康と生活の質を守るお手伝いをいたします。
口腔外科とは
口腔外科は、お口(口腔)・顎(がく)・顔面・関連組織に生じる疾患に対して、診断から外科的治療までを行う専門領域です。親知らずの抜歯や顎の痛み、粘膜のできもの、外傷、嚢胞(のうほう)や感染症、神経や上顎洞と近接する難症例の処置など、幅広いトラブルに対応します。当院ではCTや拡大視野(マイクロスコープ)を用いた精密診断と、痛みに配慮した低侵襲な手術で、安全・確実な治療を提供します。
口腔外科で対応する主な疾患・処置
- 親知らず(智歯)抜歯:横向き・埋伏・神経に近接した難抜歯、上顎洞近接例に対応
- 嚢胞(のうほう)・良性腫瘍:顎骨嚢胞、粘液嚢胞、線維腫などの切除・摘出
- 歯性感染症:智歯周囲炎、顎骨骨髄炎、歯周膿瘍などの切開排膿・原因歯処置
- 粘膜疾患:口内炎、白板症・紅板症などの精査(必要に応じ生検・病理検査)
- 小帯異常:上唇小帯・舌小帯の短縮に対する形成術
- 外傷:歯の破折・脱臼、軟組織裂創の縫合、簡易的な顎骨打撲への初期対応
- 歯根端切除術:根尖病変の外科的処置(再根管治療が困難・無効な場合)
- 上顎洞口腔瘻:抜歯後の交通に対する閉鎖術
- 顎関節周囲の簡易処置:顎関節の腫れ・疼痛に対する保存的初期対応(詳細は顎関節症ページへ)
精密診断と安全性への取り組み
- 歯科用CT:神経(下顎管)・上顎洞・血管との立体的関係を把握し、合併症リスクを低減
- 拡大視野(マイクロ/ルーペ):視認性を高め、切開・剥離・縫合の精度を向上
- 滅菌・感染対策:クラスB滅菌器、ディスポーザブル製品の活用、清潔域の厳格管理
- 疼痛管理:表面麻酔+電動注射器、必要に応じ鎮痛薬・抗菌薬処方、鎮静の相談可
- 医療連携:全身疾患や高度手術が必要な場合は大学病院・地域中核病院へ速やかに紹介
外科的歯科治療のご紹介
親知らずの抜歯(智歯抜去術)
親知らずは、手前の歯のむし歯・歯周病の原因になったり、繰り返す腫れ・痛み、口臭、咬合や歯列への悪影響を引き起こすことがあります。CTで神経・上顎洞との位置関係を確認し、切開・分割・抜去・縫合まで低侵襲に実施。術後は適切な鎮痛コントロールと腫脹対策(安静・冷罨法・指示薬内服・洗浄指導)で回復を支援します。
歯根端切除術(外科的歯内療法)
根尖に嚢胞や肉芽組織が残る難治例では、根尖部への外科的アプローチで病変を除去し、逆根管充填を行うことで歯を保存できる可能性があります。マイクロスコープと超音波チップ、バイオマテリアルを併用し、成功率の向上を図ります。
小帯形成術(上唇・舌小帯)
哺乳や発音、歯間離開(すきっ歯)、ブラッシング障害の原因となる小帯の短縮・付着異常に対し、局所麻酔下で
低侵襲に形成術を行います。年齢や症状に合わせ、術後のストレッチ指導やMFT(口腔筋機能療法)も併用します。
手術の流れ
1. 診査・診断
問診、視診、レントゲン/CT、必要に応じ血液検査・投薬確認
2. 説明・同意
手技・所要時間・費用・合併症リスク・術後経過を丁寧にご説明
3. 手術当日
局所麻酔(+鎮静可)、清潔操作で低侵襲に処置を実施
4. 術後管理
止血・鎮痛薬/抗菌薬処方、注意事項説明、必要に応じ消毒・抜糸
5. フォロー
感染徴候・神経症状・開口障害の確認、画像で治癒評価
術後の注意(抜歯・小手術の一例)
- 当日の強いうがい・入浴・飲酒・運動は避ける
- 出血は清潔なガーゼ圧迫で止血、血餅を保護しドライソケットを予防
- 腫れは48〜72時間でピーク。冷罨法は間欠的に、痛みは指示薬でコントロール
- 処方薬は用法容量を遵守。異常時(強い出血・発熱・増悪痛・しびれ)は早めに連絡
- 清掃は翌日以降、創部を避けて優しく。指示がある場合は洗浄を併用
リスク・副作用
- 疼痛・腫脹・出血・開口障害:多くは一過性。鎮痛・冷罨・安静で軽快
- 感染:創感染・上顎洞炎など。抗菌薬・洗浄で対応(まれに再処置が必要)
- 神経症状:下顎管近接抜歯等でのしびれ(多くは可逆的・時間経過で改善)
- 上顎洞交通:上顎臼歯部抜歯で生じることがあり、閉鎖・生活指導を実施
- 縫合不全・創離開:安静・再縫合で対応
事前にCTでリスクを評価し、必要時は高次医療機関に連携します。
費用・保険適用について
多くの口腔外科処置(智歯抜歯・嚢胞摘出・切開排膿・小帯形成など)は保険適用となります(難易度や部位、病理検査の有無で負担額が変動)。インプラント関連の外科や一部先進的処置は自費となる場合があります。個別の費用は診断後に明確にご案内します。
当院の強み
- CT×拡大視野の精密外科:解剖学的安全域を可視化し、低侵襲にアプローチ
- 痛みに配慮:表面麻酔+電動注射、術後疼痛の計画的コントロール
- 清潔・滅菌:クラスB滅菌器・使い捨て資材で交差感染を予防
- 医科連携:全身疾患・抗凝固療法中・妊娠中など配慮が必要な方も安全に設計
- 丁寧な説明:画像を用いたわかりやすいインフォームドコンセント
よくあるご質問
Q. 親知らずを抜くタイミングは?
腫れや痛みを繰り返す、手前の歯に悪影響がある、将来トラブルが予測される場合は早めの抜歯を検討します。CT評価の上で最適時期をご提案します。
Q. 抜歯はどのくらい腫れますか?
個人差がありますが、術後2〜3日で腫れのピーク、多くは1週間程度で軽快します。冷罨法・指示薬・安静でコントロールできます。
Q. 全身疾患や服薬があっても手術できますか?
主治医と連携し、投薬調整・止血対策・抗菌薬選択を行えば多くは可能です。必ず既往・服薬をお知らせください。
まずはご相談ください
「腫れが引かない」「親知らずが痛む」「粘膜のしこりが心配」――気になる症状は放置せずご相談ください。的確な診断と低侵襲な外科処置、そして充実した術後ケアで、安心して日常へ復帰できるようサポートいたします。必要に応じて専門機関へ迅速に連携し、最適な医療を途切れなくご提供します。