マイクロスコープ治療 ~ 肉眼では見えない領域に正確な処置を

当院では、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を活用した精密治療を積極的に行っています。マイクロスコープは最大20倍以上にまで拡大できるため、肉眼やルーペでは確認できないレベルの微細な構造や異常を「見て、判断し、正確に処置する」ことが可能となります。特に、根管治療(歯内療法)や歯周外科、詰め物・被せ物の適合確認において、治療精度を飛躍的に高めることができます。

なぜマイクロスコープが必要なのか?

歯科治療の多くは「ミクロン単位」の精度が求められる

歯の内部(根管)や歯肉の奥深く、詰め物・被せ物の境目など、歯科治療では0.1mm以下の誤差が結果に直結する領域が多く存在します。従来の肉眼や拡大鏡(ルーペ)だけでは限界があり、どうしても「勘」や「経験」に頼らざるを得ませんでした。

マイクロスコープは、強力な照明と高倍率の拡大によって、暗く狭い部位でも詳細に観察可能です。これにより、経験と感覚に頼った治療から、「視認し、根拠をもって行う精密治療」へと飛躍します。

マイクロスコープが活躍する治療分野

1. 精密根管治療(歯内療法)

根管治療は、歯の内部にある根管(神経の通り道)を清掃・消毒・封鎖する治療です。この根管は人によって数や形が異なり、非常に細く複雑で、肉眼では完全に見極めることが困難です。

マイクロスコープで可能になること

  • 根管の位置・数・湾曲の正確な把握
  • 感染部位や破折部の特定
  • 残存異物(折れた器具など)の視認と除去
  • 穿孔(穴)やクラック(ひび)の診断

こうした高度な処置が可能になることで、治療の成功率は格段に向上し、「抜歯せずに残せる歯」が増えるのです。

2. 精密補綴治療(詰め物・被せ物の装着)

詰め物や被せ物の適合精度は、再発予防の観点から非常に重要です。マイクロスコープを使用することで、以下のような精密な補綴処置が可能になります。

  • 支台歯形成(歯を削る形)の適正確認
  • マージン(歯と補綴物の境目)の段差や不適合のチェック
  • 装着時の適合・浮き・ズレの確認

ほんのわずかな段差でもプラークが付着しやすく、虫歯や歯周病の再発リスクが高まります。当院では適合精度を徹底的に追求し、長期的に安定する補綴治療を実現しています。

3. 歯周病治療・歯周外科

歯周ポケットの深い部位や、肉眼での確認が難しい歯根の表面の処置においても、マイクロスコープは威力を発揮します。

  • ルートプレーニングの確実性向上
  • 歯周組織再生療法時のデブライドメント精度
  • 歯肉縁下カリエスの発見と処置

これにより、従来では難しいとされた保存的治療や再生療法も、より予知性高く行えるようになります。

他院で見逃された異常の発見にも貢献

患者さまの中には「他院で治療したが、症状が改善しない」「原因不明の痛みがある」と訴える方もいらっしゃいます。マイクロスコープは、そのような原因不明のケースでも、微小な破折・穿孔・根管未処置・歯石の取り残しなど、見逃されがちな異常を発見する手がかりとなります。

他院で「抜歯しかない」と言われた歯でも、マイクロスコープ下での精密治療により残すことができた症例も数多くあります。

当院の取り組み:常時マイクロスコープ完備・全症例録画保存

すべてのユニットにマイクロスコープを設置

当院では、一部の専門的な処置に限定するのではなく、すべての診療ユニットにマイクロスコープ(または拡大鏡)を完備しています。初期診断から治療、経過観察に至るまで、一貫して高精度な視認下での処置を可能としています。

録画による治療の「見える化」

患者さまにとっても「どんな処置が行われたのか」は気になるポイントです。当院では、必要に応じて治療中のマイクロスコープ映像を録画し、ご説明に用いることで、透明性のある医療を実現しています。

マイクロスコープは「再治療の予防」に直結

従来の歯科治療は「見えない場所を勘で処置」する部分が大きく、それゆえに再治療が必要になるケースが多くありました。マイクロスコープによって、原因を確実に除去し、問題を残さない治療が可能となれば、長期にわたって歯を健康に保つことができます。

「精密に治す」だけでなく、「再発させない」という観点から、マイクロスコープは極めて重要な役割を担っています。

マイクロスコープによる治療が未来の歯を守ります

マイクロスコープは、単なる機械ではなく、患者さまの歯の寿命を延ばすための大切な“目”です。当院では、この「見える医療」によって、再治療を減らし、抜歯を回避し、機能と美しさを長く保つことを目指しています。

これまでの治療で納得できなかった方、精密な診断と確実な処置を希望される方は、ぜひ一度ご相談ください。