口腔がん検診

口腔がんは、舌・頬・歯肉・口蓋など口の中に発生する悪性腫瘍で、進行してから発見されることが多く、時に生命を脅かす疾患です。しかし、口腔がんは視診で発見できるがんの一つであり、定期的な検診によって早期発見・早期治療が十分に可能です。初期には痛みが少なく、「口内炎が長引いている」「しこりがある」「出血しやすい」といったごく軽微な症状のため、気づかずに放置されてしまうことが多いのが現実です。当院では、こうした“見逃されやすいサイン”を見逃さないために、丁寧な視診・触診、必要に応じた画像診断や専門機関への紹介体制を整えています。
特に、喫煙や飲酒の習慣がある方、ご高齢の方、入れ歯などの慢性的な刺激がある方はリスクが高く、定期的なチェックをお勧めします。私たちは、歯科医院が「歯を治す場所」だけでなく、「命を守る入り口」でもあるという意識のもと、日々の診療を行っています。
検診は痛みを伴わず、数分で終わる簡便なものですが、その先に守れるものは計り知れません。どんなに小さな変化でも、ご自身の口の中に違和感があれば遠慮なくご相談ください。口腔がん検診を通じて、皆さまの健康と安心な未来を支えてまいります。
口腔がん検診について
口腔がんとは、舌や頬の内側、歯ぐき、口蓋(上あご)、口底(舌の下)など、口の中に発生するがんの総称です。日本では年間約8,000人が新たに口腔がんと診断され、その数は年々増加傾向にあります。
早期発見できれば治癒率の高いがんですが、初期症状が分かりにくく、発見が遅れるケースも少なくありません。そのため、定期的な「口腔がん検診」が重要です。
口腔がんの主な症状
早期段階では自覚症状が乏しい
口腔がんは初期には痛みや腫れが目立たないため、自覚症状がほとんどありません。以下のような症状が続く場合は、早めの検査をおすすめします。
- 舌や口の中に白や赤のただれ、できものがある
- 潰瘍が2週間以上治らない
- しびれや違和感が長引いている
- 口の中のしこりや腫れ
- 入れ歯や被せ物が急に合わなくなった
- 舌や顎の動きに制限が出てきた
「がん」と診断される前に、前がん病変(白板症や紅板症)として発見されることもあります。この段階での発見が、治癒率や予後を大きく左右します。
口腔がんの主な原因とリスク要因
1. 喫煙と飲酒
長期的な喫煙や過度な飲酒は、口腔内の粘膜に慢性的な刺激を与え、がん化のリスクを高めます。特に、喫煙と飲酒の習慣が重なるとリスクは相乗的に上昇します。
2. 慢性的な刺激
合わない入れ歯や尖った歯、欠けた詰め物などが粘膜を常に刺激し続けることで、がんの原因となる可能性があります。これを「慢性機械的刺激」と呼びます。
3. ウイルス感染(HPVなど)
ヒトパピローマウイルス(HPV)感染が、口腔がん(特に咽頭がん)に関与していることも近年明らかになっています。性的接触による感染リスクもあり、若年層にも注意が必要です。
4. 免疫低下や栄養不良
高齢者や基礎疾患を持つ方では、免疫力の低下やビタミン不足などががんの発生を促進することがあります。
当院の口腔がん検診の流れ
当院では、日本口腔外科学会のガイドラインに則った「口腔がん検診」を行っております。必要に応じて、提携する大学病院・専門機関への紹介も迅速に行える体制を整えております。
1. 問診
現在の症状、生活習慣、既往歴などをお伺いします。喫煙歴や飲酒の習慣、気になる部位なども詳しくお聞きします。
2. 視診・触診
舌・頬粘膜・歯ぐき・口蓋・口底・顎周辺など、口腔内外を丁寧に観察し、腫れやしこり、色調の変化などを確認します。必要に応じてマイクロスコープ(拡大視野)での精密観察を行います。
3. 光学機器を用いたスクリーニング(オプション)
蛍光観察装置(VELscopeなど)や染色検査を併用し、肉眼での発見が困難な異常部位を早期に可視化することも可能です(※自費診療となる場合があります)。
4. 精密検査へのご案内
明らかな異常が確認された場合は、提携する大学病院・総合病院の口腔外科へ紹介し、CT・MRI・組織検査(生検)などを迅速にご案内します。紹介状の作成や予約手続きも当院で対応いたします。
検診は痛くない?どのくらい時間がかかる?
口腔がん検診は、基本的に視診・触診が中心の「非侵襲的な検査」であり、痛みや負担はほとんどありません。所要時間は15分〜30分程度です。光学機器の併用などオプションをご希望される場合は、別途ご案内いたします。
口腔がん検診を受けたほうがよい方
- 40歳以上の方(特に喫煙・飲酒習慣のある方)
- 口の中に長引くできもの・潰瘍がある方
- 舌や歯ぐきの異常を感じる方
- 過去にがんや前がん病変と診断されたことがある方
- 義歯が合わないなど、粘膜に慢性的な刺激がある方
上記に当てはまる方は、年1回の検診を強くおすすめします。
当院の特徴 ~ 早期発見と予防のために
- 口腔外科経験のある歯科医師による診査
- マイクロスコープによる拡大視野での確認
- 精密検査・専門機関との連携体制
- 検診と併せた歯科健診・生活習慣の見直し
「口の中に気になる症状があるけど、どこに相談すればよいかわからない」とお悩みの方も、まずはお気軽に当院までご相談ください。
費用について
口腔がん検診は基本的に自費診療となります(※自治体によっては助成制度あり)。詳細は受付またはお問い合わせフォームにてご確認ください。
お口の健康維持のために
口腔がんは、早期に発見できれば完治が期待できるがんです。しかし、見過ごされやすい部位であるため、定期的な検診とご自身のセルフチェックが欠かせません。当院では、痛みの少ない検診と迅速な紹介体制を整え、患者さまの安心と健康を守る取り組みを行っています。
お口の違和感がある方はもちろん、「何もなくても定期的に確認しておきたい」という方も、ぜひ当院の口腔がん検診をご利用ください。